生物学好きのまいんが、シンガポールで生活する中で出会ったものをひたすら記録します。

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TreeTop Walk行ってきた その1

https://www.nas.gov.sg/archivesonline/data/pdfdoc/20111026002/factsheet-_treetop_walk.pdf

 

TreeTop Walkとは!

www.nparks.gov.sg

シンガポールの二次林(Central Catchment Nature Reserve)の中を、最高25mの高さで歩くことができる素晴らしすぎる吊橋です!!!!!!!!!!!素晴らしすぎんか!!!!!!!!!!!!

コロナのせいなのか、補修のせいなのかよくわかりませんが、ずーっと閉鎖されていたんですが、最近やっとオープンになりました。

普段首が痛くなるくらい見上げるしかない林冠を、二次林とはいえ上から眺めることができるなんて!林冠をどんな植物が覆っているのかも知りたいし、林冠がどんな感じに見えるのかも見てみたい!!!と思い、思い切って行ってみることにしました!

 

 

TreeTop Walkは

  • MacRitchie Reservoir Park
  • Windsor Nature Park
  • Bukit Timah Nature Reserve

から行くことができます。自分の場合、Bukit Timah Nature Reserveには既に行ったことがあったので、どうせなら沢山体験しようと思い、Windsor Nature Parkから入ってMacRitchie Reservoir Parkから出ていく感じで行こうと決めました。

 

ってことで、Windsor Nature Parkからスタート!

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Windsor Nature Parkはめちゃくちゃ整備された遊歩道的なところです。

びっくりしたんですが、湿気が多めというか、そこら中水たまりや川、湿地の状態になっていました。水が豊かな場所ですね。

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人工的に整備されている自然なので、視野も明るめで、植物も密度低めです。

それでも十分多いですが……

これはゴールデンキャンドル(Senna alata)。殺菌特性があって、皮膚の真菌感染症治療に使われたり、薬用ハンドクリームに入ってたりするんだって。こんな大きい葉でも夜中には閉じるそうな。

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これだけ湿地っぽかったらタコノキとかあるんじゃないか、と思ってたらありました。

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歩いていると上からすごい勢いで何か降ってきました。

一歩遅かったら直撃していたのですが、ずれていたので横にポコン!と音を立てて落ちました。

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なにかの種子でしょうか?よくわかんないな。

これは親指サイズだったので当たったところで大したこともなさそうですが、この公園ではそこら中にヤシの実や握りこぶし大の謎の実がごろんごろん落っこちていました。こんなの当たったら頭蓋骨割れちゃう。

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湿気が多いせいか倒木にきのこももりっと生えています。

おまんじゅうみたいで美味しそうだ。しじみにも見えるが。ボーロにも見える。うーむ、悩ましい。

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ちょうど、キノコとカビの生態学という本を読んで、「枯れ木の中の菌類の話面白い!!!」と思っていたところだったので、個人的にはかなり興奮しました。がんばって分解してるね!!!

 

ずんずん進んでいきます。

倒木が川の橋みたいになる自然現象って「ある」んだ。

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これは……カエンボク???めちゃくちゃ鮮やかな赤で目を引きます。

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この葉っぱ、沢山生えていたけどなんだろう。ニッケイ属?

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若いフタバガキ科っぽい植物も沢山生えています。二次林だからなのかな。

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ずんずん進んで20分くらい経つと、こんな景色になってきました。

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この赤ポチはなんなんだ??????

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これはClerodendrum paniculatumじゃないかな。真っ赤で背が高いので目立ちます。

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Hyptis capitataかなぁ。ぽんぽんや。

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さて、公園も出て自然保護区に入ったせいか、段々足元がひどくなってきました。

ごつごつで何度も転びそうになりながら進みます。

森もしっかりしてきました。Bukit Timahよりは明るいし林冠低めだけど、鬱蒼としてる。

 

謎の大きな虫さんがいました。親指分くらいのサイズがあります。ゴキブリ?カメムシ?誰だろう……。

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またお猿さんもいました。プウプウ言っていました。

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林床を突きまわるキンバトにも遭遇!写真ではわからないと思いますが、羽はエメラルドグリーンでキラキラと光ります。美しい。

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あまりにも同じような道が延々と続くので、段々疲れてきました。

歩いても歩いても目的地が見えません。

それもそのはず、TreeTop Walkはどこからアクセスしても1時間半~2時間かかるという、かなり遠いところに設置されているのです。

しかも一応高いところにあるので、その分登山もしなければいけません。

そんなわけで、あんまり気軽に行ける場所ではないんですよね。

知ってはいたけれど、本当にこんなに遠く、果てしないとは……。

取り敢えずTreeTop Walkにたどり着くのを優先してがんがん歩こう!と思い、ゆっくり見たい&立ち止まりたい欲をぐっと抑えて足早に進んでいきます。

でも良い板根は写真とります。いい板根や~。

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これも良い板根。

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シンガポール来てから板根が嬉しすぎて、いろんな板根を撮るせいで板根フォルダがだいぶ温まってまいりました。

板根デュエルしたい人は申し出て頂ければ対戦致しますので、どうぞ起こしください。

 

 

永遠に続くかと思われた酷い道が終わると、今度は割ときつめな坂道が始まりました。

TreeTop Walkはこっちだよ、と言われてもだな……

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その上、TreeTop Walkにアクセスするための入り口の道は、車の侵入を禁止するための赤白ポールみたいなものででっかく封鎖されていて、「え!?入れないの!?」と最初面食らってしまいました。

ここまで来てアウト?もしかしてまだ閉鎖中だった??とおろおろとしていると、そこにいた爽やかお兄さんが「TreeTop Walk行きたいの?ここで合ってるよ!これは車止める用だから、乗り越えて入れば良いんだよ!」と教えてくれました。ありがとうお兄さん……。

 

 

やっとのことでTreeTop Walk到着!

一方通行で、人数制限や間隔の取り決めなどがあるので、入り口で受付?的なものがありおじさんに指示をされます。

ここに出勤する時どうしてるんだろう……あの果てしない道を歩いてくるのか……?と思って待っていたら、「行っていいよ!」と言われ、いざ出陣!

入ってすぐはこんな感じ。まだ低いので、木の中腹あたりが見えます。

歩くたびにどんどん視界が開けてきて、ついに林冠が見下ろせるゾーンに突入!

 

林冠が近い!!!!!!!!!林冠の葉っぱが見える!!!!!!!

林冠側から下を見てみても、多様な植物種がいることがわかります。でも、林冠を構成している樹種は思ったより偏ってるのかな?という気が。TreeTop Walkを歩く間、同種と思しき樹種を何回も見ました。

Macaranga giganteaと思しき木とか……

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Campnosperma auriculatumと思しき木とか……

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Neolamarckia cadambaか???????全然自信ない……同定ができない……ぽんぽんが面白い……

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これはArtocarpus elasticusかなぁ。

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謎のお花軍団も、林冠で真上に向かって咲いています。こんな景色があるんだなぁ。

こういうでっかい虫の触覚みたいなのもぴょんぴょんしてました。なんなんだろう。

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二次林の林冠ってこういう樹種が占めてるんだなぁ、みたいな気持ちで眺めつつ。

本当は他にも、Cheng Tng Tree (Scaphium macropodum) とか、Pulai (Alstonia angustiloba) とか、Elaeocarpus ferrugineusとかが林冠を占める代表的な種としてあるそうです。

 

林冠を広い視野で見てみると、高さが大体揃っていること、

その中でも穴ぼこがあったり、立ち枯れの木があることに気づきます。

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めちゃくちゃ高い木が細い幹になっていることや、ヤシっぽいものが多く林冠にも出現するのもよくわかりますね。

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こんな感じで、林冠までの高さには全く枝がなく、スッと立って上だけで葉を展開するものも目立ちます。勿論そうではないものもいるんですが。木って色んな戦略があるんだなぁ、となんだか胸が熱くなりました。

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こんな林冠の高いところにまでも、着生植物は来ているということもわかりました。

すごい執念だ!ビカクシダか。

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地面は果てしなく下だし、周りには同じ高さの木はないのに、こういった着生植物たちはどうしてここまで来ることができるのだろう。鳥などで胞子が散布されるのか?自然に胞子が上まで舞い上がるのか?それともよじ登るのか?うーむ、よく考えると謎……。

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ちなみに林冠の風はかなり強くて、帽子が吹き飛ばされそうになりました。

遮るものがない分、やはり風が強くなるようです。

細くて長い木は風を受けて揺れていて、酷いものではギコ!という鈍い音をずっと出していました。大丈夫なんだろうか。

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他の木と擦れ合うのか、ゴリ、ゴリという音も聞こえてきます。

林冠では鳥の声以外にも、色々な音が聞こえてくるのだなぁと思いました。

 

橋の終盤で振り返った様子がこちら。木がどれだけ迫っているかと、25mの高さがあっても超えてくる木がいることがよくわかります。

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残念ながらTreeTop Walkは一方通行、一回きりなので、後ろ髪をひかれる思いで歩き終わりました。

 

TreeTop Walkには大変苦労して到達したのですが、その価値があるほど素晴らしい体験をさせて頂きました。

普段は下から見上げているのでよくわからなかった林冠のこと、そして森を俯瞰した様子のことが、TreeTop Walkにいると段々読み取れてきます。今までモヤモヤとしていたところがパーッと開けてくるようで、大変面白い経験でした。

想像しているだけでは分からなかったことも沢山身体で感じることができました。

特にあの空気、風、木々のざわめき、太陽の照りつけ等は、ちょっと他では体験できないものでしたね。今でも目を瞑ると蘇ってくるようです。森の中との森の上との絶対的な差。どちらも体験したからこそ噛み締められる無二の感情が自分の中に芽生えました。

 

 

ということで次回は、TreeTop Walk歩けてよかった~などとぽやぽや夢気分の自分が自然保護区を脱出するまでをお話します笑